情報系 博士 就職
情報系の博士号は、民間でどう値付けされるのか
公開
情報系の博士は、民間転職において他分野の博士とは違う扱いを受けます。理由は単純で、研究の道具がそのまま実務の道具だからです。生物系の博士がピペットを置いてExcelを覚え直すのに対し、情報系はコードを書き続けられます。
ただし、この前提には条件がつきます。
加点されるもの
- 実装を伴う研究(処理系、シミュレータ、計測系など、動くものを作った経験)
- 公開されているコード。GitHubのリポジトリは職務経歴書より速く読まれます
- 外部との共同研究。企業との接点がある研究室出身者は評価が上がります
- 英語での発表・執筆。国際会議の経験は外資では直接効きます
加点されないもの
- 論文の本数そのもの。査読の重みは社外には伝わりません
- 単著のみの実績。チーム開発の経験がないと見なされます
- 研究費の獲得実績。マネジメント経験としては読まれにくい
職種別の相性
| 職種 | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 機械学習エンジニア | 高 | 論文を読む速度がそのまま戦力になる |
| ソフトウェアエンジニア | 中〜高 | 実装経験の有無で大きく割れる |
| 企業研究所 | 高 | 唯一、論文実績がそのまま通貨になる場所 |
| 技術コンサル | 中 | 説明能力が高く評価される。実装から離れる覚悟が要る |
| 社内SE・情報システム | 中 | 安定するが、研究色は完全に消える |
この整理が当てはまらない人
冒頭の「研究の道具がそのまま実務の道具になる」という前提は、情報系であれば全員に成り立つわけではありません。次のいずれかに当てはまる場合、上の整理はそのままでは使えません。
- 理論寄りで、実装を伴う成果が手元にない人。上の「加点されるもの」に該当する項目がなく、情報系であることの優位が消えます。この場合はまず実装の空白をどう埋めるかが課題になります
- 論文の本数と査読の重みを、そのまま評価に換えたい人。上に書いたとおり社外には伝わらないため、企業研究所以外では期待した読まれ方をしません
- 実績を社外の人が確認できる形で持っていない人。公開コードも共同研究も国際会議の記録もない場合、書類の段階で情報系である優位を示す材料がありません
判断の順番
年収から入らないでください。情報系の場合、実装を続けるか離れるかを先に決めると、選択肢が自動的に半分に絞れます。年収はその後の話です。提示額の幅がどこから生まれるかは博士が民間に移ったときの年収の見方で扱っています。
実装を続ける側に決めたなら、次に確認するのは書類と面接で何が問われるかです。ポスドクからエンジニアへ移るときに各段階で起きることをまとめてあります。